沿革History

シアタークリエとは、Theatre Creationを略した造語であり、
その歴史は1957年オープンの芸術座に遡ります。

当時、東宝演劇担当重役であった菊田一夫には、「座席数を抑えるかわりに、ロングラン公演によって名舞台を育て、その中から名俳優を作る」という理念がありました。
その理念のもと、1957年4月、東宝会館(現:東宝本社ビル)の4階と5階に座席数664の芸術座は開場しました。
山崎豊子原作、菊田一夫脚本・演出、森繫久彌主演の『暖簾』で杮落しの幕が上がると、1959年の『がめつい奴』では10ヶ月372回、のべ入場者20万8000人という戦後演劇史上初のロングラン記録を打ち立てます。
また、1961年から始まった『放浪記』では、当時無名に近かった森光子の名を一躍高め、劇中のでんぐり返しは名場面として話題になりました。

芸術座は2005年に48年の歴史に幕を下ろしましたが、その跡地に演劇の新たな発信基地として、2007年11月、座席数611の新劇場・シアタークリエがオープンを迎えました。
前方席は千鳥配列、途中からスロープ席となる構造により、舞台と客席との距離が近いのが特徴です。
オープニング作品は、三谷幸喜作・演出『恐れを知らぬ川上音二郎一座』。
現在までストレート・プレイからミュージカル、コンサートに至るまで多彩なレパートリーを上演しています。

Creation―「創造」。
それは「想像」にもつながります。

作品を生み出すすべての根源が、このふたつの言葉に込められています。
約600席の濃密な空間だからこそ、より一層「想像力をめぐらせる、演劇本来の楽しみ」を追求できます。
そこで、常に新しく、愛される作品を創造したい。
この劇場は、《創造と想像》の限りない宇宙に、挑戦します。

出典:「東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀」